前回は2001年のお正月についての話でした。 実家に戻ったえっちゃんは、食っちゃ寝、飲んじゃ寝……の毎日。 体にたっぷりお肉をたくわえて、リフレッシュできて良かったけど、 家に残されたお義父さんは、それはもう大変だったようです。
たしかにね。えっちゃんたちの不在中は、お義父さん一人でお義母さんのお世話をするんだもん。そりゃー大変だっただろう。で、具体的には?
つまり、我々の留守中、毎日、いや、1日何度も「2階、どうしちゃったのかしら? いないんじゃないの?」と問われ続け、その度「あちらの実家に行ってるって言ったじゃないか」「あ、そうか」の繰り返しだったそう。
まともに相手をしていると疲れるかも。でも、無視するわけにもいかないし。
ストレスたまるよね〜。おまけに夕方になると「まだ帰ってこないのかしら」と何度も家の前に出てはきょろきょろ。「風邪ひくだろ。みんな出かけているんだから、今日は帰ってこないよ」と義父に連れ戻されていたらしい。義父にとっては長く辛い時間だったかもね。
そうだね。目が離せないものね。
自宅に帰ってからは、今度は私が義母に「あなたたち、一体どこに行ってたの? 心配したんだから!」と何度も言われ続け、 その都度「だから〜、私の実家に行ってたんですってば〜」とこたえていたよ。これが数日は続いたな。私が買って帰ったお土産を見ても「何でこんなものがここにあるの?」と。「だから〜、お土産ですってば〜、私たち、お正月に帰省してたでしょ」「あ、そっか〜」ってな感じ。はあ、疲れる〜。
まあまあ。
コレステロール、問題じゃん!
ほほほ。正月の暴飲暴食の影響はそれほど出なくてよかった〜。ところで健診も無事終わり、帰ろうとしたとき「あれ? 何だろ?」と奥の展示コーナーに気づいた。介護グッズがずらっと並んでいたのじゃ。
介護グッズ?
車椅子や、簡易トイレなどね。「義母にはまだ関係ないけど、参考までに見てみるか」と、そのコーナーに入っていった。「ふうん、色んなものがあるもんだ」と感心して見ていると、職員がやってきた。若い女性職員だった。その前の年、高齢者福祉課で年配の女性職員からひどい言葉を浴びせられたのを思い出しちょっと構えてしまったよ〜。
あっ! Vol.6のエピソードだ〜!
そうじゃ。思い出すだけで震えるぞ。その女性、「どなたかご家族でお体の不自由な方がいらっしゃるのですか?」とやさしく声をかけてくれた。「いえ、今のところ体は大丈夫ですけど、ちょっと参考までに見させてもらってます」と。すると親切にも、色々説明してくれたんだよ。しかし、この時点ではまだ義母はオムツのお世話にもなってないし、その話はどれもピンとくるものではなかった。
いい人じゃない!
そう。で、話の流れで「実は義母がピック病なんです」と伝えた。 以下、私たちの会話だよ。 「ピック病?」(やはりわかってない) 「アルツハイマー病よりも介護が大変と言われている認知症です」 「それは大変ですね。あなたが面倒をみられてるんですか」 「いいえ、義母はまだ家事はかろうじてできます。 主に義父が面倒をみています」 「火の始末とか、大丈夫ですか」 「いえ、大丈夫じゃありません(めちゃめちゃ心配やがな〜)、 どうすればいいのですか?」 「よろしければもっと詳しくお話をお伺いしてもよろしいですか?」 「は、はあ、まあ……」 (だって、身体が不自由なわけじゃないし、こことは関係ないんじゃないの?) それから、住所、氏名、家族構成等、相談用紙のようなものに職員さんが記入し始めた。 「2世帯住宅に暮らしていて、生活は全く別々。今のところ家事は義父にサポートされながら何とか義母がこなしている。精神科の病院に通院している」 ……そんな話を伝えた。
なんか親身になってくれてるよね?
そうなのじゃ! いつぞやの職員と全く違い、この職員さん、真顔で「本当に心配ですね。大変ですね」と言ってくれた。予期せぬ言葉だった。また叱られるのかと思ってたからね。
おお、感動。
そして、さらに予期せぬ言葉が。「介護保険の申請はしないのですか?」と。 へ? 介護保険?「介護保険って、介護できる人(つまり私)がいる場合は使えないんじゃないですか?」「そんなことはありませんよ。それにあなたの場合、別世帯だし」「え? だって、同じ家に住んでますよ。いいんですか?」
えっちゃん、目がいきなりお金マークになってないか?
ほんとだ。今まで「公的補助」については何の話も出てこなかった。
なんともったいない……。しかし仕方ない。
私も同じ市在住だから、本当に参考になるよ。